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 第2回 山とネット社会について

 第2回 山とネット社会について

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第2回目のテーマは『山とネット社会について』です。

 

『山』と『ネット』と言われても全く異なる事ではないか❓と疑問を感じられてしまうかもしれません。

ただ、山においても間違いなくネット社会の波は届いています。
何だか変わったテーマだと感じる方が多いと思いますが『ITエンジニアをしているくりボーだからの目線で綴っていきたい』と思います❕

 

山におけるネット❓ IT化❓  例えば・・・

山は人間ではない為、パソコンを使うわけではありません(;´・ω・)
でも直接的にではないにせよ、確実にIT化の波は近づいています。

  1. YAMAPをはじめとした山アプリ(GPSナビ)
    私も2018年位からSNS系の山アプリは使用しています。(YAMAPの紹介)
    特徴としてGPSを使った山のナビゲーションができる為、安全に登山する事ができ非常に重要な物だと思います。
    最近ではニュース等にも取り上げらており、遭難者の発見にも貢献しており、益々需要が増えて来ています。
    きっといつかはビーコン(正確な位置情報)との連動で、今以上にリアルタイムにそして安全に山に行ける事になるんではないでしょうか(^^♪
     
  2. 山小屋等でのキャッシュレス化(クラウドファンディング含む)
    意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが…
    一部の山小屋では既にクレジットカードや、電子マネーといった決済方法が利用できる場所もあります。
    体表的な場所で言うと、富士山とか北アルプス、八ヶ岳のほんの一部ですが対応しています。
    ただ山では電波の影響により使用できない場合も多くある為、今後の課題かもしれません。
    しかし、山でキャッシュレス化が普及したらホント便利だと思います❕
    山小屋をよく利用する方は判ると思いますが、なるべくお釣りが無いように調整して現金を持って行くって結構大変なんですよね(;^_^A
    以外に小銭って重たくなるし・・・
    あとは山小屋の予約なんかも最近はWeb予約になりつつありますね。
     
  3. 山間部での携帯電話の利用エリア拡大
    各キャリア同じ取り組みだと思いますが、特にdocomoでは日本百名山を中心とした登山道で電話ができるようにエリア拡大を続けています。(詳しくはドコモHPを)
    全てのエリアをカバーする事は難しいと思いますが、山小屋や山頂などでは、かなり山深くても電波が入るようになりました。
    山小屋でLINEの音が聞こえるなんて今じゃ普通ですからね(*^-^*)
     
  4. 最近多いのが遭難による事故の報道によるネット上の反応
    最近は中高年を中心とした登山者の遭難事故がニュースになる事が増えて来ています。
    その為か、Yahooのコメント欄などには関係者の方への配慮が無いコメントが目立ちます。
    全ての登山者がそうでない事は十分にわかっていますが…ただ世間的には『遭難者 = 悪者』扱いされることが非常に心苦しいです。
     
  5. SNS等を中心とした「いいね」欲しさの過激なコンテンツ作り
    4番に近い問題かもしれませんが、これも極一部の方の問題が大きいと思います。
    「いいね」欲しさで、より過激なコンテンツを作り、それを公開するケースが増えて来ています。
    『ビキニ登山家』や『積雪期の富士山をライブ配信しながらの滑落事故』等の痛ましい事故が記憶にあります。
    最近はGoPro(頭などに付けているカメラ)を頭に付けて登っている方と会う事も増えて来ています。
    以前蓼科山の岩場をスマホ片手にライブ配信しながら登っている方を見たことがあります。
    登山者と言うより、普通の格好だった気がします・・・今なら注意したかもなぁ~

 

ネット社会はこれから益々進化していき、もっともっと便利な社会ができてくと思います。

ただ、ネット社会において最大に悪い点は『匿名性(守られている感)』です。
よく言われる通り『顔が見えない = 内に秘めている物をそのまま伝える』の傾向があります。

無論私もこのように書いているのも、匿名性が有るからと言う事が前提に有るからかもしれませんが・・・

ただ、この匿名性が時として悪い方向に使われるケースが増えて来ています。

 

シャーデンフロイデと言う言葉があります。

日本語では「人の不幸は蜜の味」だったり、もう少し汚い言葉で言うと「ざまぁみろ❕」、ネットの言葉で「メシウマ❕」と言った意味になります。

これは一般的に誰しも持っている感情の一つなので仕方がない物だと言われていますが、これがネット社会では相手を知らないうちに傷つけている場合があります。

現実社会では仮に妬み等が発生した場合、相手の反応を見て自然と行動している為、どこかで制御が効きます。
しかし、ネット社会は仮想的な物なので相手の反応は正確にはわかりません。

その結果、相手に対して容赦ない攻撃が始まり、相手を完膚なきまでに叩きのめしてしまう事になります。

 

特に「俺は(私は)正論を言っているけど、なにか問題でも?」的な考えをする方は注意が必要だと感じます。
知らないうちに、相手の方を傷つけているかもしれません・・・


確証バイアスと言う言葉もあります。

辞書には「自分の願望や信念を裏付ける情報を重視・選択し、これを反証する情報を軽視・排除する心的傾向」とあります。
何を言っているのか、分かりそうでわからないですよね(;’∀’)

要は、既に自分が持っている考えを「正しい」としたいが為に、自分に都合がいいように解釈(捻じ曲げ)して情報を集める事です。
よく言われるようなケースとしては「〇〇さんはA型だから几帳面・・・」と言った、特に科学的根拠も無い事に当てはめて言うようなケースです。
 
 

シャーデンフロイデ確証バイアスはネット上で何がいけないのか❓

例えば【山での遭難事故のニュース】を見た方の心理を考えてみたいと思います。

 1.『遭難 ⇒ 救助隊等が出動 ⇒ 迷惑をかける』と言った考えが働きます。
 2.一般的には『他人に迷惑をかける = 悪い人』となり悪いイメージが植えつけられる。
 3.更に別の遭難事故があった場合も、内容は別として『他人に迷惑をかける悪い人』と全て同じくくりに考えはじめる。
 4.その後、遭難事故のキーワードだけを探すかのように『またか❕』と自然と情報収集しはじめる。
 5.いつしかスケールアップした考えたが生まれ『登山者 = 悪者』や『山は危険』と全てを同じくくりに考え始めます。
 6.そんなある日『何かの拍子に不満が爆発し事故の関係者の方に正論を言うかのように罵って』しまう…
 7.当然『本人は正論を言っているだけの感情の為、何も悪気が無い事が多い』と思います。

全てではないにしても、このような流れでネット上の書き込みが増えていく事が考えられます。

更にそれを助長するかのように、同じような書き込みが増えていく・・・
所謂炎上ですよね(-_-;)
 
正論って言われている人にとっては、何も言えない状態になる為、怖いんです…

勿論これはフィクションであり、私が勝手に解釈した物です。
この考え自体を確証バイアスだと言われたらそれまでですが…💦

※因みにガイドになる為に心理学は「し、いや縦棒くらい?」の事は習いますが、間違っていたらご指摘下さい。 

 

 

ところで山って本当に危ないものなんでしょうか❓

確かに毎週のように山に行くことが多い私も全くケガをした事ないか❓❓
と言われたら違います。
幸いにも一度も大きなケガはありませんが、擦り傷を中心に何かにぶつけての打ち身等は時々あります。

実際のところ調べてみると次のような情報があります。
 

静岡大学教育学部教授でオリエンテーリングの第一人者である村越真教授も述べています。
余談ですが…村越先生はロゲイニングの大会などの主催をしており、時々お会いしている方でもありますし、日本山岳ガイド協会の講師でもある方です。 少し脱線しましたが・・・本題に…(;^ω^)
 
交通事故では年間50万人が負傷、3500人ほどが死亡しています。(平成30年度の内閣府発表より)
一方、登山による遭難事故では974人の負傷者、278名の死亡または行方不明者と発表されています。(令和2年度の警視庁発表より)

 
一見数字的に見れば、登山者の事故は多く見えるかもしれませんが…

仮に人口10万人(登山の場合は、登山10万回)当たりで換算すると、
 交通事故の場合は負傷者は400名、死亡者は2.9人
 遭難事故の場合は負傷者は800名、死亡者他は1.9名

※追記 元データとしてヤマケイオンライン
少し掲載がありましたので、詳細はそちらをご確認ください。
 

と、言うことが言えます。
 

その為、一般的には登山による遭難事故と交通事故は同じくらいの割合と言うことが言えます。
 
実際には一人の人が何回も登山しての回数が含まれる為、実人数はもっと少ないと考えられます。
また負傷者が多く感じるのは、乗り物と違い生身の体の為、怪我の度合いは別としてして、ケガをしやすい為だと思われます。
 
そういう意味では負傷した際の対策は必要と言うことが言えますが、それはまた別の機会に・・・

 

 

でもニュースになる事が多いのはなぜ…

正確な理由はわかりません。
ただ言える事としては『珍しい出来事だから』ではないでしょうか❓
 
例を挙げると落雷により亡くなられた方は数としてはあまりありません。(気象庁のサイト)
警視庁がまとめた、ここ5年間の遭難の割合でも令和元年に3人(全体2,937人の僅か0.1%)のみです。(警視庁のサイト)
しかし、鍋割山やギエヴォント山(ポーランド)での落雷事故等、ニュースとして取り上げられる率は非常に高いですよ・・・下手したら番組の一つにもなる事がありますよね💦
その為、マスコミが面白いから(面白いと言うと誤解を招くかもしれませんが、珍しいケースだけに)、取り上げているのではないかと思っています。

仮に交通事故全てがもしニュースになっていたら、きっと交通事故のニュースだけで毎日ニュース番組の時間が終わってしまうでしょうし、何より見ている方は嫌になり、その番組は見なくなりますよね(;’∀’)

 
 

ところで『山で一番危ない行為』って何かご存じですか❓

 それは『間違った知識を付けて、それを鵜吞みにして山に入る事です!』
 

間違った知識による問題は色々とあると思います。
 

例えば『遭難』もその一つだと思います。

『遭難』って本当に悪いことなんでしょうか❓
勿論『無謀な登山計画』や『ロクな装備も持たず登り、救助を要請する』・・・なんて事は確かに許しがたい行為です。

でも全員ではないですよね❓一部の人だけを捉えて物事を語っている事も考えられます。
逆に冒頭にも記載した通り『遭難(登山者) = 悪者』がまるで一般常識のようになっている事が危険に感じます❕
 
無理して下山し容態が悪化して・・・なんて事もきっとあったと思われます。
本来であれば『冷静な判断でビバーク(緊急野営)や救助要請すれば、結果は違ったのかも』しれません…
 
しかし『日本人は世間の”眼”』をかなり気にします。
 
『遭難(救助要請』の言葉だけで、勝手に悪いイメージに置き換えられている為に、『助けを呼びにくく・・・』そして『何が何でも下山しなきゃ❕』といった考えになり、事故につながっているケースは少なくないと思います。


それ以外にも、よくネット上で「私も〇〇山登れますか?」「大丈夫ですよ❕」なんてやり取りを見かけます。

一度でも一緒に登った事が有る方でしたら、多少はアドバイス的な事は言えるかもしれませんが、そんな事は例えベテラン山岳ガイド(私よりはるかに階級が上)の方であっても明確には答えられないと思います。

 

理由は簡単です…

まず登った事がある山であれば、その時の経験から話はできると思いますが…
『登る方の経験、体力、筋力等が判らない状態で、登れるかの判断が付くはずがありません❕』
ましてや赤の他人ではあれば尚更です・・・
 

個人的には『そんな無責任な事を言って質問者の方が遭難でもしたらどうするんだろう❓』と思ってしまう時もあります。

インターネットの匿名性が良くも悪くも影響している問題の気がします。

実際「〇〇山に登ってみたい!」と言われたら・・・
 ガイドする為には、その山を目標にその方と一緒にスキルアップ(経験、体力や筋力アップ)してから行くものです。
 

例えば私の場合、当時小学校1年生(6歳)の子供から『富士山に登ってみたい❕👶』と言われた事で、『富士山に登るにはトレーニングしなくちゃね😎と言うことで親子登山を始めました。

 
その時に決めていたことは次の通りです。

【目標:富士山登頂】 その為には・・・
  1.地元の里山(標高300mくらい)にチャレンジ
  2.もう少し高い山として浜石岳(標高700mくらい)にチャレンジ
  3.更に高い山として竜爪山(標高1000mくらい)にチャレンジ
  3.次の目標は1500m級(真富士山青笹山)、2000m級(編笠山)と徐々にチャレンジ
   この時、他にも山梨百名山を主に登りはじめました。
  4.本番前の予行練習の為に、富士山(実際は宝永山のつもり)に行ったら・・・
   そのまま富士山登頂しちゃった(;^ω^)って感じでした🤣

それで子供は目標がなくなってしまった為に、次の目標として貰う為に山梨百名山には富士山の次に高い山(日本で2番目の山)が有るんだよ😎』とその存在を教えた事で『行ってみたい❕👶』と次の目標が直ぐに決まりました。
 

【第2の目標:北岳】 目的達成のためには・・・
  1.毎週体力作りの為、毎週のように山梨百名山にチャレンジ
  2.更に高山(岩場)にも順応できるように、金峰山瑞牆山等に行き
  3.北岳を1泊2日で計画し登頂❕

親としてはとても嬉しかったです。
ただ、ここまで余りにも呆気なく登頂できてしまった為、少しは挫折を味わって貰いたい気持ちもありました…
 

その為、更なる試練として『実は北岳の横には日本で3番目に高い山があったんだよ😎』と話をして…すぐさま『行く❕👶となりました。
 

これで次の目標は【第3の目標:間ノ岳と変わりました。
ただ、ここでも親としては嬉しい事なんですが期待を裏切られました・・・

改めて北岳を目指したある日の2日目、間ノ岳無事登頂しました。でもお代わり状態(;^_^A
その為、様子を見て農鳥小屋に泊まれば良いかと思い農鳥岳を目指しました。

しかし、農鳥岳に着いてもまだ時間も体力も余裕がある為、大門沢をそのまま下りました。(大門沢小屋に泊まる予定に変更)
大門沢小屋に着いて休憩しても『まだ進む👶』と言うので、進みました。
結局、当時7歳(小2)の息子は1泊2日で白根三山を縦走してしまいました💦
 
因みに大門沢ルートは標高差2200m以上と大人でも嫌がる激下り・・・
しかも白根三山縦走は歩行距離25kmオーバーで一般的には2泊3日のルートです( ̄▽ ̄;)

我が子ながら化け物だと感じた日でした・・・
 

その後は、山に詳しい方ならもうお分かりだと思いますが…『実は・・・第3位の山って実はもう一つあるんだよ😎』、『えぇ❕👶』、『でももっと難易度が高いんだよ~ぉ😎』、『じゃ、もっと頑張る❕👶てな具合に【第4の目標:穂高岳になったのは言うまでもありません。

 

と、自慢のような、ネタのようなホントの話です(^^♪

 

でも、これは親子だからなしえる技であり、半年以上毎週欠かすことなくトレーニングしたからこそできた事です💪
 

「子供が出来たんだから俺(私)も・・・」なんて、くれぐれも考えないでくださいね(^^;
それが悪い事なんです…

 

と、かなり脱線してしまい申し訳ありません(;^ω^) 元の話に戻します。

 
  
他にも最近はYouTubeをはじめとしたSNS等を通じ、情報収集している方は多いと思います。
ホント便利な世の中だと思います。

しかし、その情報正しい(信頼できる物)とは限りません。
 

実際、山岳ガイド協会の講習を受けた後とかに『YouTubeで間違った情報を発信しているケースあるなぁ~』と思うことがしばしあります。(ロープワークで言うと、シートベントやダブルフィッシャーマンズノット等)

これを見て覚えた方は、それを実際のフィールドで使うと思うと怖いですよね・・・
山でのロープワークは安全を確保する為の技術です。だから間違っているのは致命的なんです💦

ガイドでも使っていなければ忘れてしまいます・・・だから反復練習をして忘れないようにするのです。
 

これはコンピュータのエンジニアが言うのは変な気がしますが、
『ネット上にある物は大半が怪しいと思って下さい。自分が体験・確認したり、信頼できる詳しい人に確認するまで確信しない』と癖付けをした方が良いと思います。

えぇ‼このサイトも怪しい❓・・・まぁその通りかもしれませんが…( ̄▽ ̄;)
 

一言で言うなら『仮想の世界だけで物事を判断するのでは無く、実際の世界でコミュニケーションを取って下さいね』と言う意味です。
 

なんでもググるだけでは無く、自分の眼で見て、

  耳で聴いて、体全体で感じて、色々と経験して技術習得できることが大切です。

これ辺は ITエンジニアだからこそ、本当に強く言いたいです❕❕

 

最近、IT業界ではEmotet(エモテット)と呼ばれるマルウェアがかなり騒がれています。
いわゆる「なりすましメール」による問題です。
数年前から流行っているのですが、コロナと同じで全く収まりません・・・むしろ2022年になって酷くなっています。
その為、『一人一人のITリテラシーの向上』なんて会社等でも言われる事が増えて来ていると思います。

皆さんもネット社会に惑わされる事なく、正しい情報が習得できる技術を是非身につけて下さい。

今回はこれにておしまいです(‘ω’)ノ